中医学:大青竜湯

 麻黄湯の変方です。日本ではあまりなじみがありませんが「雨を呼び寄せるように、大いに発汗させる力を持っている」方剤です。太陽病証中で最も実証に対応します。

 大青竜湯の構成生薬は
・麻黄 6.0g
・桂枝 3.0g
・石膏 10.0g
・杏仁 5.0g
・甘草 2.0g
・生姜 3.0g
・大棗 3.0g

 麻黄湯、麻杏甘石湯と桂枝去芍薬湯の骨格が見つかるでしょうか。この麻黄6.0gは全ての方剤中でもかなり多く、加えて桂枝と石膏の力でかなり強力な発汗剤となります。本来は他の発汗剤を用いても発汗しなかった病態に用います。発汗しないため寒邪を取り払えず、衛陽が鬱滞して熱となり煩燥状態が目標です。

 本証は内外とも邪実で外寒内熱となっています。外邪のみであれば麻黄湯で十分ですが、それでは内の清熱作用がないため石膏を加えています。口渇多飲があれば陽明経証白虎湯証ですが、大青竜湯証はあくまで脈浮緊・発熱悪寒・身体痛に加えて内熱の煩燥が見られるはずです。大青竜湯は体力があり病邪との邪正闘争する正気が十分ある対象以外は用いることが出来ず、脈が弱い太陽中風証などに用いると正気の消耗が起こり厥逆(手足の強い冷え)や津液不足が起こり、ひどいと筋肉が滋養できず痙攣が起きます。体力があるものでも服用で汗がでたら直ちに中止するとの但し書きがあります。

 桂枝湯の観点から見ると、構成生薬の芍薬が抜かれ、桂枝去芍薬湯として組み込まれています。桂枝去芍薬湯では邪が胸部に内陷して胸中の陽気を損傷する胸満症状に対し、邪気を持ち上げる効果を期待し、 芍薬を抜いています。芍薬の陰性で凝集性・収斂性が方意と反対に働くからです。 つまり外邪の勢いが強く、内の陰の消耗よりも外向きの力を優先した方剤です。 脾胃を温める生姜・大棗が組み込まれているのはそれだけ吸収を早めて効果発発現を大きくしたいためです。

 麻黄湯と大青竜湯の鑑別はどちらも無汗・脈浮緊・身体痛があるものの、渇や煩燥があれば大青竜湯、なければ麻黄湯となります。
 小青竜湯は水飲が主で、胃内停水、脈微浮で力があります。
 また、煩燥と渇、心下痞鞕あって汗多い場合は白虎加人参湯を用います。