栄養学:タンパク質2

 タンパク質はアミノ酸がペプチド結合で繋がったものです。タンパク質の分子量は小さいものでも5000ほど、大きいもので10万を超えます。その構造は一次構造(アミノ酸配列)、二次構造(部分的な立体構造)、三次構造(全体的立体構造)、四次構造(プリペプチドの結合)のように幾重にも重なる複雑です。

 タンパク質の一次構造はなかなか変性しませんが、立体構造は熱・酸・アルカリで比較的簡単に壊れます。立体構造が壊れればタンパク質はもとの機能を失います。このことを失活と言います。卵の白身が熱を加えることで透明から白になることです。タンパク質の変性は熱、酸素、アルコールの添加、振とう、重金属、食品添加物や塩の添加、X線照射など様々な原因がきっかけになります。卵の白身の例からわかりますが、この変性は不可逆です。

 タンパク質は体内で様々な役割を果たします。酵素・ホルモン・筋肉のような収縮性タンパク・ホルモンの受容体・輸送タンパク質・免疫抗体のような防御タンパク質・コラーゲンのような構造タンパクが全てタンパク質から作られます。

 体の至る所で必要とされるタンパク質。体重50kgの一般的な体格、生活をしている方が一日に作り出す量は200gと言われています。ところが、国民栄養調査では女性の平均摂取タンパクは約60g。とても200gには及びません。この残り140gをどう補っているか?これはタンパク質の他の栄養素と大きな違い「異化と同化」の特性のためです。タンパク質の異化と同化とはつまりタンパク質で作られたものを壊して、また作り直すリサイクルシステムを採用しています。この異化と同化のバランスがとれていることが健康を維持し、若さを保つ秘訣です。リサイクル資源は燃やせるごみに出しませんよね。体を燃やす、エネルギーを得るための代謝は糖質のような効率のよい栄養素にお任せすることが一つの健康維持戦略です。

 タンパク質の摂取量は年々減少傾向で、20年前の20代の平均が60g、これは20年前の75gよりかなり下がっています。厚生労働省が定めるタンパク質の必要摂取量は基本は体重1kg辺りに対して1.2g、つまり体重50kgであれば60gが必要となります。成長期の若年層、ハードなトレーニングをしている人、妊婦や授乳婦はさらに上がります。データだけを見れば、今日本人女性20代の体重は51.3kgなのでこの必要摂取量はなんとかキープしている、もしくはやや少なめくらいです。ただ、注意しなくてはいけないことはこの必要摂取量にはあまり根拠はありません。以前は上限として体重1kgに対し2g以上は摂取すべきではないとされていますが、腎臓病などがあるケースを除き、タンパク質の過剰摂取が健康障害になったケース報告がないため、現在は上限の制限は設定されていません。

 この必要量の目安は、体重によってもちろん変化します。目安としてはご本人の手のひら2枚分の肉と魚と卵、さらにプラス豆製品をとりましょう。動物性の肉、魚、卵を7に対して植物性の豆製品は3ほど。もちろん摂取量に上限はないので最低限の量がこのくらい、という話です。

 年配の方や女性の方で、植物性の食品を主にでタンパク質をとる方がいますが、これではタンパク同化の効率はあがりません。というのも、必須アミノ酸(私達が自分で作り出せない栄養素)の中の一種類、メチオニンが植物性のタンパク質には不足しています。メチオニンはタンパク合成の開始コドンに含まれますので、これが不足するとタンパク合成は進みません。必須アミノ酸と言われる体内で合成できないアミノ酸は9種類。このどれが不足してもタンパクの異化と同化はうまくいきません。これが動物性タンパク7に対し、植物性を3と言われる理由です。

 タンパクが豊富、と言われる食品は大抵が動物由来なのに対し、豆製品がタンパクが豊富なこと、疑問に思ったことありませんか?植物は基本エネルギーを光合成で得ます。光合成によって得られるものは酸素と糖です。そのため植物はデンプンや果糖のような糖質、食物繊維(吸収ができませんが糖質)を多く含みます。その中でマメ科の植物が実らせる豆からは例外的にタンパク質が多く含まれます。この理由は実はマメ科の植物に寄生する細菌が、タンパク質を作るためなのだそうです(マメ科の生薬・甘草にはタンパクが含まれているそう)。

 牛もそうですね。草ばかり食べていますが、体には脂がしっかりついています(美味しい)。牛もまた内臓に寄生する細菌によって脂肪を作り、それを吸収しエネルギーとするようです。私達は食べたものが身になっていくと言われたりしますが、それは完全ではありません。私達の体は食べたものの影響は大きいことは確かです。ただ、その陰で目に見えない細菌の存在を忘れる訳にはいきません。

 学術的ではないですが、かわいいキャラクターとわかりやすい説明。お客様への説明時に参考にしています。

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