栄養学:精神科疾患とタンパク質

 日本ほど精神科領域において多剤併用が多い国はないそうです。では他国ではどのような治療をしているのか?実は健康管理の基本の基本、栄養療法をきちんとやることが見直されているそうです。

バカボン君さんによる写真ACからの写真 

 安定した心を作るために必要な栄養素として、最近再注目されているのがタンパク質です。栄養学など勉強していなくても知っている、基本の栄養素です。

 タンパク質は糖質、脂質と並んで三大エネルギーと言われ、3つとも体内でアセチルCoAに変換され、エネルギー代謝経路に入っていきます。

 糖質の代謝(解糖系)では
糖質 → グルコース → グルコース6リン酸 → ピルビン酸 →アセチルCoA
         ↕        ↕
            グリコーゲン    乳酸

 脂質の代謝(β酸化)では
脂質 → 脂肪酸 + グリセロール → アセチルCoA

タンパク質の代謝では
タンパク質→ 糖原性アミノ酸 → ピルビン酸 → アセチルCoA
↘ケト原性アミノ酸 → アセトアセチルCoA↗       

 このように、3代栄養素は結局はアセチルCoA(アミノ酸は他のパターンもありますが)に変換されTCA回路に入り代謝されます。栄養素としては、TCA回路に入ってしまえば3つとも同じエネルギーとなります。

 ただ、冒頭で述べたようにタンパク質は安定した心を作るために必要な栄養素です。もちろん筋肉や皮膚などの材料にもなります。加えて、脂質も同様ホルモンや細胞膜の材料となるため、エネルギー供給はグルコースにお任せして、タンパク質と脂質は本来それにしかできない役割に回ってもらうというのが理想的なエネルギーの供給バランスです。

 そういう点では糖質カットなどの栄養戦略もありますがやはりエネルギーとして活用しやすい糖質は、タンパク質と脂質の有効利用のために適度に摂取する必要があります。

 タンパク質が安定した心の状態を保つと言われる理由はタンパク質を分解したアミノ酸が重要な神経伝達物質の材料となるからです。そしてアミノ酸から神経伝達物質の合成にはさらに多くの種類の栄養素が必要です。特にストレスによって消費されるビタミンB群や女性の鉄欠乏は多くの精神症状の原因となります。

 ここから、アミノ酸が神経伝達物質に変換されるまでの道筋を見てみましょう。

L-グルタミン → L-グルタミン酸 → γ-アミノ酪酸(GABA)
     ナイアシン    ビタミンB6
L-グルタミン酸は学習能力や記憶力アップに
GABAは興奮を静める役割・・・GABA入り食品をとることが神経伝達物質として利用されるかは疑問です。

L-フェニルアラニン → Lーチロシン → L-ドーパ → ドーパミン → ノルアド
  葉酸・ナイアシン・鉄  葉酸・ナイアシン・鉄 VitB6  VitC・銅
ドーパミンはやる気、心地よさを
ノルアドレナリンは意欲を上げて、物事に興味を持たせる

L-トリプトファン → 5-HTP → セロトニン → メラトニン
葉酸・ナイアシン・鉄  VitB6  マグネシウム
セルトニンは安心感を
メラトニンは睡眠状態を

 それぞれの伝達物質に様々な役割があります。薬剤師であれば聞き覚えのある名前ばかりではないでしょうか?それだけに薬に頼る前にそれぞれの栄養素を補い、自らの脳の働きを正常にしておく必要があります。

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