栄養学:ビタミンDについて

過剰投与が心配されるのであまりサプリメントでおすすめすることが少ないビタミンD。他のビタミン類、CやB群と比較すると効能が今ひとつ地味?なのか影が薄いですが、最近かなり見直されてきています。

 

ビタミンDの効果として一番有名なものはカルシウムとリンの吸収を促進すること。実際保険適応で処方されるビタミンD骨粗鬆症の予防目的がほとんどです。

 

代謝への影響が中心と考えられていたビタミンDですが、最近見直されてきています。まず免疫力の強化作用。日常的に日光浴をする人がそうでない人より圧倒的に免疫力が高いことから調査は勧められました。その結果、その他にも、血糖調整機能や、妊娠の成功、精神疾患にも関わっていることが知られるようになりました。

 

ビタミンDは生体で生合成されたものと食品由来のものに分かれます。

 

ビタミンDとはビタミンD2とビタミンD3の総称。ビタミンD2は植物、主にきのこに存在し、ビタミンD3は動物性の食品に多く含まれます。

 

ビタミンD2とビタミンD3は生体内でほぼ同じように代謝され、活性を持ちます。そのため特に区別なく扱われます。

 

食品由来のビタミンDは他の油性ビタミンとともにカイロミクロンにとりこまれてリンパを介して吸収、全身をめぐります。

 

ビタミンDは小腸や腎臓でのカルシウムとリンの吸収を促進します。甲状腺から分泌されるカルシトニンと副甲状腺ホルモンのPTHと競合してカルシウムやリンの濃度を一定に保ちます。

 

この他に、最近注目をあびているのが小腸粘膜上皮細胞へ、細胞の成熟を促進するという点。ビタミンDが欠乏しているラットでは絨毛の長さが70%程度にしか伸びないという報告がされています。また小腸粘膜細胞同士を繋げるノリの役割をタイトジャンクションも、ビタミンDがその生合成にかかわっている、ビタミンDが不足していると粘膜の面積が少なくなり栄養の吸収にとって不利になる上に、栄養素と有害物質をこし分けるというフィルターとしての機能も落ちてしまうということです。

 

腸の粘膜を強化する、という点では免疫の「陰」の側面を充実させるということですが、ビタミンDは「陽」にもアプローチをするようです。ω3の油の話と通じますが、ビタミンDは過剰な免疫にブレーキをかけるTreg細胞への誘導を促進し、炎症を促進するTh17細胞への分化を抑制します。

 

実際アレルギー性鼻炎アトピーを罹患している小児はビタミンDの血液中濃度が低い傾向にあるようです。

 

ビタミンDの最新の研究で興味深いのは妊娠率と高い相関関係があるという報告です。ビタミンDが体内に豊富な女性は欠乏している女性より妊娠確率が1.5倍も高いのです。そして、妊娠のしやすさをはかる卵巣予備能(AMH)、体外受精の成功率、習慣性流産のリスクなどさまざまなデータでビタミンDが豊富な女性のほうが妊娠出産に有利であるという結果が出ています。

 

これはひとつに、腸内粘膜を正常化するように子宮内膜の状態を改善する効果があるため、と思われます。

 

それに加え、ビタミンDは最近核内レセプターが発見されホルモンの一種と考えられるようになりました。この核内におけるレセプターとの反応を介して、NK細胞の分化増殖を調整するようです。習慣性流産原因としてNK細胞の割合の高さも指摘されているため、ビタミンDが婦人科で注目を集めています。

 

NK細胞はウィルス細胞や癌化した細胞の細胞死を誘導します。ビタミンDレセプターが関与して悪性細胞の成長をコントロールし、そのため将来的にはガンの治療にも注目を浴びています。

 

この、悪性細胞の細胞死と、正常な細胞の文化促進効果は神経変性疾患、例えば自閉症うつ病アルツハイマー統合失調症にも効果をあげることを期待されています。実際ビタミンD投与による小児の自閉症評価尺度による研究で優位に改善が見られいています。

 

ビタミンDは体内のコレステロール代謝産物から、日光を浴び、肝臓で代謝され、さらに腎臓で代謝されやっと活性型となります。この活性型ビタミンD3は厳密に体内で調整されているので過剰症の心配はまずないと言われていますが、活性型ビタミンD3自体をサプリメントでとらなければそのリスクはまずないと言われています。過剰症の目安として1日IU4000もしくは100μgと言われています。これは人間が全裸で1日中太陽に当たったときに作られるビタミンDの最大量だとか。

 

医薬品によるビタミンDはロカルトロールが活性型ビタミンで、濃度に注意が必要ですが、骨粗鬆症に使われるワンアルファは肝臓での代謝によって活性型になるので、肝機能がトラブルなければ安全に使えるこちらがオススメ。動物性の魚などを原料としたビタミンD製剤では肝臓と腎臓両方で代謝が必要なたまこちらも過剰症の心配はほぼありえません。

 

デヒドロコレステロール+光→プレビタミンD3+熱→ビタミンD3+肝代謝→25(OH)ビタミンD3+腎代謝→活性型ビタミンD

 

つまりサプリや食品からのビタミンD摂取は光に当たる過程を飛ばすだけです。とはいえ、この数十年で光にあたる、なんて考えられなくなった人も多いかと思いますので、サプリでの補給は当たり前かもしれません。

 

また、感染症予防の面からも注目を浴びています。これまで寒暖差による体力の低下や空気が乾燥することによりウィルスの増殖が増えるなどが冬に風邪を引きやすくなる理由と言われることが多かったようです。しかし、ビタミンDが関与していることで、風は気温や空気の乾燥ではなく、その生成に必要となる紫外線が届かないことが直接的な原因ではないかとの指摘がされています。

 

知ってるようでしらない、ビタミンDの細かなお話でした。

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