栄養学:コレステロール3部作 完結編

コレステロールについて書き続けてきましたが、ではそのコレステロールとうまく付き合うために薬剤師としてどんなアイテムが使えるかをお話します。

 

まず、コレステロールを作るのも回収するのも肝臓の役目です。肝で代謝を受けるのは悪玉、善玉の両方そして食事由来の中性脂肪です。そのため脂質の代謝をスムーズにするためには肝の炎症(脂肪肝)を改善することは最優先事項です。

 

まず肝の炎症で使用する第一選択は田七製剤です。田七はウコギ科サンシチニンジンの根を加工したもので、一般にいう人参であるウコギ科オタネニンジンとは別種。金不換とも呼ばれますが、金でさえ換えたくないほど値打ちがあると言われました。効能としては化瘀止痛、活血止痛。血液の流れを改善し、なおかつ漏れ出た血液をとめる、痛みをとめる効果があります。

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K.M=KARIBITOさんによる写真ACからの写真

田七人参ではないですが、同じウコギ科コシアブラです。

 

薬剤師をしているとあれ?と思うのではないでしょうか。血液の流れをよくする薬といえば副作用は出血傾向。ところがこの田七は血管内の血液の流れは改善し、漏れ出た血液はとめる、という効果があります。ですので打撲、捻挫などの内出血を治すことは得意中の得意。諸葛孔明も怪我をした兵士に田七を使用したとか。

 

この田七製剤はさまざまな製薬メーカーからでているのですが、脂肪の炎症を鎮める、肝機能改善効果があります。止血効果と比較すると即効性としては弱いですが、継続する服用で肝機能数値はもちろん、それにともないコレステロール値、中性脂肪の数値も大きく変わります。お酒を飲む習慣がある人はぜひ継続して飲んで欲しいアイテムです。

 

もう一つ、肝の炎症を鎮めるためにおすすめしたい栄養素があります。それはEPA、イコサペントです。イコサペントは肝に限らず全身いたるところの炎症を鎮めてくれます。その理由はEPAは炎症を抑制するプロスタグランジン3系の反応を加速させるためです。この抗炎症作用はリーキガット症候群のような腸の炎症でも、花粉症のような鼻粘膜の炎症でも、アトピーのような皮膚の炎症でも効果があります。肝機能トラブルに限らず、炎症体質の人の根本的な体質改善にはかかせない栄養素です。

 

肝臓の炎症を鎮めるとこれだけコレステロールは大切、悪玉コレステロールは悪くない、と言っておきながら総コレステロール値が下がることがあります。どんな検査値でも言えることですが、検査値は高値にする要素を低値にする要素の引っ張り合いです。例えばLDLコレステロールの数値について。肝臓の代謝が悪いとLDLは上がり気味に、それに加えてコレステロールをつくる脂質が不足しているとLDLは下がり気味に。この2つの条件が同時に起きると、LDLの数値は正常範囲内になることがあります。脂肪の炎症をとると、検査値をあげる要素がなくなるためごまかしがきかず、エネルギー不足の低値が明るみにでてきます。このような肝機能のトラブルとエネルギー不足の問題を併せ持っているケースに炎症を改善しながらも脂溶性のエネルギーの補給になるEPAはぴったりです。

 

最近スーパーなどでもω3の油が市販されいて、だいぶ認知もされてきたかと思います。EPAもω3系の油ですが、日本人の場合市販のω3系の油からEPAを合成する酵素はあまり強くないようです。それもそのはず、EPAは魚の油、魚を常食する日本人にとって長いあいだ合成する必要はなかったからです。市販のω3ももちろん良い商品ですが、炎症を鎮める、という目的ではEPAを直接取るほうが圧倒的に効率が良いでしょう。

 

多くのメーカーが販売しているEPA製剤ですが、品質は様々。魚由来の油なのでこだわるならあまり大きな魚は生物濃縮が心配で避けたほうがいいですね。まな板にのるくらいのサイズの魚が適当なようです。サプリが手っ取り早いですが、魚食をかなり中心にできるならそれでもOKです。

 

また、LDLコレステロールの酸化を防ぐために“還元2号方”という処方もおすすめです。この処方は腎臓の血流量を増やすので肝臓疾患より腎臓疾患で進めることが多いですが、末梢血管での抗酸化力が優れているのだとか。血圧降下作用も期待できるため動脈硬化をはじめとして、循環器系のイベントのリスクが高い方にはとても優れた方剤です。

 

逆に数値が低い、というケースにはサメの肝油成分がおすすめです。この肝油成分は短い代謝経路でコレステロールとして変換されるためコレステロール不足の即効性が高くあります。さらにその下流のホルモンを作り出してくれますので、アトピーなどの皮膚症状、不妊骨粗鬆症など改善の効果が期待できます。

 

思いつく限りで私のコレステロール対策はこの4つが柱となります。

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