中医学:気血津液の相互関係

気血津液はそれぞれ水穀の精微から作り出され、私たちの生命活動を支える基本的な物質です。この3つはお互いに依存し、制約し、相互扶助しあう関係です。つまり、何か3つのうち何か1つが調子が悪ければそれは他のものに影響し、複雑な病的状態を作り出します。

気と血の関係

【気は血を生じる】
血を作り出す基礎の物質は精であり、精が血へ転化するための原動力は気です。そのため気が不足していれば血への転化は行うことができず、気が虚すと同時に血も虚します。気虚が進行することで血虚を引き起こすと、息切れ、脱力感、顔色が悪い、頭がふらふらする、目がくらむ、心悸のような気血両虚の症状が現れます。このような場合補血だけではなく益気も同時に行う必要があります。例えば、大出血の後など体力が低下している時に使用する方剤として当帰補血湯があります。構成生薬は黄耆30gと当帰6gというシンプルなものです。消耗が激しい出血状態では補血薬は胃腸に重くかえって状態を悪くしてしまうことがあります。このとき補気薬を主として補助的に補血薬を加えることで重篤な気血両虚症状を改善することができます。「気はよく血を生ず」の原則に従ったものです。

【気は血をめぐらせる】
血の運行は、心気の推動作用、肺気の散布作用、肝気の疏泄作用に助けられています。そのため、気の流れは血の流れと密接に関わりを持ち、極度の気虚や気滞は血瘀の状態(血行不良)を招くことになります。例えば狭心症などに用いられる活血薬の代表に還元二号方という方剤があります。構成生薬は赤芍、川芎、紅花、丹参、香附子、木香です。前半4種は活血の生薬ですが、香附子、木香は気を巡らせる理気薬です。川芎などは”血中の気薬”と呼ばれ活血薬の中で行気作用が強い生薬です。このように、活血のみによらず気の巡りにも同時に配慮し気血の流れを改善することができます。

【気は血を摂す】
”気は血を摂す”とは、気の作用により血液が不必要にあるべき場所からもれ出ないようにする、と言う意味です。気が不足すると、出血が多くなります。これを”気不摂血”といいます。例えば、気虚が強いことで不正出血や慢性の月経不順となることがあります。このようなときは帰脾湯のような補気養血薬が効果的です。黄耆、人参、白朮などで補気し統血力を高め、さらに当帰、竜眼肉などで養血を促すような処方となっています。

【血は気の母である】
気は血を生ずる、という言葉と全く反対のようですが、気はまた血がなくてはその存在、機能はありえません。ちょうど私たちの魂が肉体をなくして機能しないことと同じようなことです。大出血をすると気も血にともなって失われてしまいます。

【気は陽に属し、血は陰に属す】
正常な状態では気と血は相互に支え合い、バランスのとれた状態にです。気血不和となりこのバランスが崩れると何らかの病気が現れると考えます。

気と津液の関係

【気旺生津、気随液脱】
”気が盛んなれば津を生じ、気は液に随って脱す”
津液の源は水穀の精微です。この水穀の精微は脾胃の気の力で取り込まれ、生成されるため、気の力なくては津液は存在しません。そして血同様、津液があるべき場所にとどまることも気の固摂作用によります。そのため気の働きが不十分だと遺尿、発汗など津液を余計に失う現象が現れます。
そしてまた気血の関係と同様に気は津液にも宿ります。そのため発汗、遺尿、下痢、嘔吐など水分を大量に失うことで気もまた大量に失われます。この気が津液とともに抜けてしまうことを”気随液脱 ”と言います。こういった時に使用する代表方剤と言えば生脈散です。構成生薬は補気の人参・補陰の麦門冬・収斂の五味子です。発汗による津液の消耗を爆問道で補い、それに伴って起きる気虚を人参で治療する方剤です。さらに五味子により余計な発汗を防ぐ効果もありますので今の夏の時期に活躍する方剤です。

【気能化水・水停気阻】
”気は水を化し、水が停まれば気も阻滞する”
津液の運行は主に肺、脾、腎、三焦などの臓腑の気により行われます。そのため気の流れが滞れば津液の巡りも悪くなり、痰飲(動きの悪い水の塊)が生まれます。また、水液の停留や痰飲の生成が逆に気の流れを妨げる”水停気阻”という状態を生み出すこともあります。痰飲の除去の代表方剤は二陳湯です。二陳湯は半夏、陳皮、茯苓、生姜、甘草で構成されます。主薬は半夏と陳皮;痰飲をとる半夏と理気作用の陳皮です。二陳湯と四君子湯を組み合わせたものが六君子湯で、気虚の強い気滞、痰湿体質を目標にしています。

津液と血の関係
津液と血は両方陰に属し、栄養と滋潤が主な作用です。病理的には繰り返し出血することで津液も損失し、”耗血生津”という状態が現れます。また傷津脱液がひどいと血もまた津枯血燥の状態が現れます。このことから、出血のある患者に麻黄湯などの発汗による治療は不当であり、多汗で津液を消耗している患者にも瀉血(流れの悪い血を針などで出血させて抜く治療)は用いることはありません。

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