中医学:六淫

中医学では病気の原因となる病因を、環境由来の”外感”と臓腑の失調から起きる”内傷”の2種類があると考えます。今回はこの環境由来の病因である外感についてお話しします。

病因を特定することはとても大切です。なぜなら、それは治療の精度を上げるために必要なのです。例をあげると、外感の代表に“風邪”、一般的に言うかぜがあります。風邪と一言にいっても中医学ではその原因を細分化します。例えば、外からの寒気が体に入った”外感風寒”と熱が入った”外感風熱”です。例えば麻黄湯は外感風寒の治療の代表的な治療薬です、そのため寒邪を追い払うため方剤全体は暖める構成となっています。暖める方剤である麻黄湯を熱を持つ外感風熱の病態に使うと、もちろん効果的な治療とはなりません。

中医学では患者の体質を細かく把握し、ピンポイントに症状にあった方剤を処方することが大切です。まさに針で糸を通すような気持ちです。

私たちの体は健康であっても病んでいても自然の気の影響を受けて、時にそこからエネルギーをもらっています。この自然の気を気候の変動を合わせ 風・寒・暑・湿・燥・火と分け、それらを総称して ”六気”と呼びます。この六気は自然な状態では万物を育むものですが、異常が起きたときには逆に私たちの体に影響を及ぼす外邪となります。この外邪となった六気のことを”六淫”と言います。

六気の異常とは、本来よりある気が過剰である、もしくは不足である、さらに時季外れに起きる、ということです。例えば異例の猛暑だとか、長すぎる梅雨時期、季節外れの台風などです。本来自然の正気を与えてくれるはずの六気が異常な気となり私たちの体調に外を及ぼす六淫(六邪)となります。この発病の原因となる六淫は、外感病の主な発因となるので”外感六淫”ということもあります。

六淫の発病には、一般的に以下の特徴があります。

  1. 六淫による病気の多くは、季節、時間、場所、環境などの要因で発症率が大きく影響を受けます。例えば春は風がよく吹くので風病が多く、梅雨時は湿が高いので湿病が多く、また夏は暑いため熱病が多く、秋は乾燥するので燥病が多くなります。同じように、湿の多い日本では湿病が多く、乾燥した中国の内地では燥病が多くなります。
  2. 次に、六淫は必ずしも単独で行動するわけではなく、相性のいい特定の邪気と組んで同時に生体を襲うことがあります。さきほど風邪の例であげた、風寒や風熱がその代表です。風寒は風邪と寒邪の両方の特徴を、また風熱は風邪と熱邪の両方の特徴を兼ね備えています。他に、湿邪と熱邪も夏の湿気が多く暑い季節、日本のような気候では同時に人体に害を与えやすい邪気です。
  3. また、六淫は外邪ですので、基本皮毛や口鼻からの侵入となります。臓器の失調により体調を崩すことももちろんあり、これらも一見六淫から与えられる症状とよく似ていることがあります。しかし、臓器の失調によるものはあくまで体の中から作り出した”内生五邪”と呼ばれる臓腑の病であり、六淫とは本質的に違うものです。

次回から、六淫の一つ一つを細かく見ていきます。

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