中医学:六淫・燥邪

 前回の湿邪とはまた正反対の、今回は燥邪についてです。燥邪は乾燥が強くなる秋の主気です。口や鼻から侵入して、肺の衛気を傷害します。温燥と涼燥の2つがあり、夏の終盤、まだ夏熱の余気に乾燥が加わると温燥、秋が深まり寒気と燥があいまると涼燥になります。

燥邪の性質と発病の特徴

乾燥性があり津液を消耗しやすい
 燥邪は湿邪とは全く正反対の特徴を持ちます。陽気を損傷させやすい湿邪と対比的に、燥邪は陰液を消耗させやすい陽邪の性質を持ちます。体表を中心として乾燥症状を起こしやすく、鼻や喉の粘膜の乾き、口が渇き飲み物を欲しがる、皮膚の乾燥などが現れます。特に皮膚や髪への影響は大きく、皮膚のかさつき、痒み、ひどいと亀裂が生じたり、髪がパサついたりします。燥邪による影響は“潤い”を失うので美容に関心のある女性には大きな問題です。また、体液量がただでさえ少ない老人は燥邪の影響を受けやすくなるため注意が必要です。

肺を損傷しやすい
 体表を中心に人体を侵しやすい燥邪は基本は外感病証の原因となることが多く、内傷となることはあまりありません。最も影響を受けやすいところは体表の衛気をコントロールする肺です。肺は矯臓(か弱い臓器)と呼ばれ、潤を喜び、燥を悪むと言われています。肺は呼吸をつかさどり、鼻に開竅していますから、乾いた空気が体内に入るとき、まず肺のコントロールを受けるようになります。乾いた空気が肺に直接届くと粘液で湿っていることが必要となる肺の細胞の正常な働きを妨げるため、鼻の奥で適度な湿気を加えるような仕組みになっています。このバランスが崩れたとき、咳嗽や痰などの病的な状態に進行します。

燥邪による病証

 まだ夏の暑さが残る初秋、熱と燥が結びついておきる病証を温燥といいます。温燥の邪が肺気を侵すと外感表証の発熱や軽い悪風や悪寒、頭痛、咳嗽があり痰は少なくなる、などの症状が現れます。温燥により津液が消耗するため乾燥症状が強く表れ、口が渇き、飲み物を欲しがる、唇や喉の乾燥感、心煩や腸も乾いて便秘がちとなります。こういった温燥証には熱をとり、乾燥を潤して肺の衛気を整える辛涼甘潤を治法として用います。

 秋が深まり、冬季の寒気と燥邪が結びつくと涼燥証となります。こちらは温躁証と比較し強い悪風・悪寒が現れ、発熱や頭痛、汗は少し出ます。涼燥の邪が肺の衛気を傷害するため宣発機能が失調し、津液の消耗は温燥証ほど顕著ではありませんが、空咳や鼻の乾燥感が出ます。涼燥証には宣肺潤燥のように肺の衛気を養い燥を潤します。

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