中医学:蔵象学説

蔵象学説は黄帝内経で扱われている中医学で核となる大切な理論です。

 

蔵象とは体の中にある臓腑がどんな状態であるかを表面に現れている症状から捉える、ということです。

 

例えば咳が出ていることから肺気の乱れを知る、食欲がないことから脾気の弱まりを知るなどです。この内蔵の状態を映すなんらかの症状を象といいます。この象は顔色や脈、検査値などの客観的なものから「イライラする、ズキズキする」などの主観的なものも含みます。

 

内臓の状態とは内臓に影響を与える季節などの環境的な影響、さらに心理的な影響も含めて多角的に捉えます。

 

ここでいう臓腑、というのは具体的には「五臓六腑」と「奇恒の腑」のことです。五臓とは肝・心・脾・肺・腎の5つ、六腑とは胆・胃・大腸・小腸・膀胱・三焦です。

 

奇恒の腑、というものは耳慣れない物だと思います。奇恒の腑とは「変わったもの、普通ではないもの」の意味があるようです。具体的には脳・髄・骨・脈・女子胞などです。五臓六腑に含まれないものを後世の人がまとめた、とも言われていますが、ここではあまり深く説明せず、また章を改めたいと思います。

 

臓腑の違いをお話しします。

 

臓の役割は蔵精気と化生です。臓はその字から「貯蔵」するものであることがわかりまが、その蔵されるものは精・神・気・血・魂・魄。言い換えるとエネルギーや栄養、意識や精神を濃縮させ、それを精(エッセンス)として蓄えます。そのエッセンスを生体の必要に合わせて「五臓の気」として解凍して活動の源とします。五臓の気によって五臓が行うことは飲食物や清気など外部からとり入れたものを体内で有効活用できるように再合成すること。この再合成を化生といいます。

 

精を蔵することが正常な状態である臓にとってはいつも満たされていることが健全な状態。そのため“虚”を呈すると病態を現すことが多くなります。

 

蔵する臓に対して腑は袋。中が空洞です。腑のは食物を受け入れ、通過させる経路であり(受盛)、通過物を変化させ次に送ること(伝化水穀)が役割です。つまりリレーの様に飲食物を伝えていく消化管の働きです(膀胱と三焦は少し別ですが)。消化管としての腑は順調な状態であれば滞りがなく物が通過していきます。病態としては虚しやすい臓に対して、物が詰まったり、過剰になる“実”しやすいのが腑の特徴です。

 

臓腑の違いを表した有名な文言があるのでご紹介します(テストに出ますよ!)。

 

臓の特徴は「蔵而不瀉・満而不実」。而は“しかれども”という意味で瀉は“くだす”の意味です。蔵而不瀉は直訳すれば“貯蔵をするけれども失わず”ということですね。ただ、実際臓は蓄えた精を臓の気に変化させ利用をします。ここの失う、は単純に減らさない、という意味ではなく伝化しないという意味に当たります。満而不実は“満ちるけれども実しない”という意味ですが…満も実も同じような意味では、と思ってしまいます。ここで使う“満”は満ち足りたという状態が続くということを表し、それに対し“実”は一時的に実るという変化のことを表しているようです。

満→常に溜まったままである

実→減ったり増えたりする

ここから、健全な状態であれば臓は常に満ち足りた状態である、ということを指していることがわかります。

 

腑の特徴としては「瀉而不蔵・実而不満」です。瀉而不蔵は失うことはあるけれども溜まったままになることはない、ということです。先ほど臓の説明でお話しした様に、ここでの“瀉”は伝化、変化を与えて次に送るということを強調しています。腑にとって大切なことは滞りなく運搬し、排泄物を瀉す、ということです。実而不満も同様に、満ち足りたままの状態が続くことはなく、食物で満たされる、そして次には空になるという変化がある点を強調しています。

 

そして五行学説でお話しした様に、中医学では世界は5つの要素が連携して協調しあってバランスをとると考えます。五臓が生体内のバランスをとる5つの要素であることは察しがつくと思います。そして腑は子分の様に、5つの臓にそれぞれ属します。

胆→肝

小腸→心

胃→脾

大腸→肺

膀胱→腎

これを臓腑の表裏関係といいます。陰陽でいえば臓腑はより表面(外部から侵入するものに直接接する)の腑が陽、より深部に存在する臓が陰と考えます。臓に不調があれば対応する腑にも何かしらの影響があると考えられています。

 

そのため、象として咳がでる、といったときにもちろん呼吸器である肺の状態だけではなく、同時に大腸の状態にも気を配らなくてはいけません。こうした多角的な臓腑の捉え方でより複雑な病態への理解が進むことになります。

中医学:津液の役割

3部作、気血津液の第3部、津液の働きです。

 

津液とはつまり体の中にある水です。昨日のブログでお話しした「血の役割」の中で、気は陽、血は陰とお話ししました。津液はその中間と言えます。

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津液は細かくいうと津と液の2つの総称です。津も液もどちらも水ですが、水の中のより陽の側面が津、より陰の側面が液というわけです。

 

津は気とともに行動する水、水蒸気のようなものです。気と同様に身体中のどこにでも存在します。津の特徴は

  • さらさらして動きがよい
  • 澄んでいる
  • 流動性が高い

目や鼻などの粘液や汗は津に当たります。作用はそれぞれの部位に養分を与え、潤すことが主です。

 

一方、液は血に近く、津より液体というよりもはっきりした形を持ちます。基本体外に漏れ出ることがない、コンドロイチンやコラーゲン、ムコ多糖類が液に当たります。液の特徴は

  • ドロドロしている(むしろゼリー状のイメージ)
  • 濁っている
  • 流動性が低い

関節の動きをスムーズにしたり、髄や骨、脳など体の深部を潤す役割を持ちます。

 

津液に関して、血内の血漿成分が液、細胞外液が津という区別で解説することもできます。

 

この津と液の関係は明確に線引きできるものではありません。それは例えれば今日から春が夏になった!と言えないようなものです(暦の上では言えますが)。津と液は互いにつながりを持ち、連携をしています。そういう意味では気と血、津液の全てが切り離した存在ではなくそれぞれがつながり、変化し合っている関係を持っていると言えます。

気⇆津⇆液⇆血

 

津液の生成は2つのルートからなります。1つ目は腎陰に蓄えられていた先天の素材です。この腎陰を腎陽で解凍して動きをよくして体内を循環させます。

 

2つ目は後天の素材です。後天の素材とは飲食物で、その消化吸収は脾の力で支配されます。食物を消化、腐熟させたものを胃、小腸、大腸の順で吸収する考えます(西洋医学では胃からの吸収ほとんどないので、考え方の原則と思ってください)。胃から吸収されるものが最も陰陽が凝縮される“精微物質”、この中で最も陽が濃厚な部分が気になり、最も陰が濃厚な部分が血になります※。そして、小腸から吸収されるものが「液」、大腸から吸収されるものが「津」です。※紛ら差しいのですが、精微物質の中にも津液は含まれているとの考えもあります。

 

食物として摂取したタンパク質は一旦アミノ酸に分解され、それらを再び新しくつなぎ合わせて私たちの体の一部となります。このように胃腸から吸収された津液もただそのままでは体に有用なものではありません。吸収された津液を体内で使えるような形に再合成する働きは脾が受け持っています。

 

次に津液の生体内での働きをご紹介します。

 

まず最初に、養分として身体中を潤す存在。皮膚、筋肉、目、鼻、口、耳、性器など体の比較的表面で角部分を潤す役割。そして、脳や髄、臓腑など体の内部を潤す存在。そして関節を潤存在です。最後の関節に関しては「滑利関節」という関節の動きを滑らかに保つ存在です。他の部分を滋潤する作用は血の働きとオーバーラップするところもありますが、この滑利関節は津液特有の役割です。

 

次に、津液は血の材料となります。血の後天の素材による生成のされ方の1つに血は津液という陰と、営気という陽が融合させるというものがあります。この融合物が心の陽気によってエネルギーが吹き込まれ、さらに肺によって清気を吹き込まれ、血としての働きを完成させます。体を滋潤するという働きが血と津液で大きくオーバーラップをするのはこの点が大きく関わると思います。

 

乾燥肌という症状に対して、津液を補充するか血を補充するかどちらのアプローチをとるか迷うところがあります。ここからは私の見解ですが、汗腺や皮脂の分泌が関わるケースは津液、コラーゲン生成など皮膚構造に関わるものは血の影響ではないかと考えています。津液である細胞外液や血漿成分はナトリウムやカリウムなどのミネラルに影響をうけ、腎と肺によりコントロールされることと一致するように思います。また、血は亜鉛や鉄など皮膚の合成する役割を持つミネラルにより調整され、脾の支配が大きいことも納得できるように感じます。

 

次に重要な役割としては体内の陰陽バランスを調整する点です。中医学では人体は水冷式と考えています。生命活動を行うに当たって、人間は熱を発生させることが必要になります。パソコンが稼働することで熱を溜め込むように、私たちの体も熱を発生させます。体内の津液が不足していると冷却システムが働かず、ほてりや熱感などの症状が現れます。逆に陽の気が弱い冬場は水分が体に過剰だと冷えの原因になるため汗ではなく尿という形で体の外に逃がします。このように津液の代謝で陰と陽のバランスを保つようになっています。

 

最後に、熱病への抵抗力としての津液です。皮膚、口内、鼻腔、肺、胃などあらゆる体表面は津液によって守られています。これは例えば水で湿った木が燃えにくいように、感染症による熱病への抵抗力となります。勢いの強い熱病では津液が傷ついた「傷津」と言い、津液が焼き尽くされることがあるので補陰(津液の補充)が必要となりますし、もともと津液の不足した状態(陰虚)だと弱い邪気も入りやすいため空咳やのどの乾燥など症状などが出やすくなります。

 

津液は体内のあらゆる水分の源となります。この視点に沿って考えると「津液鏈」(津液連鎖)という津液の整体観が生まれます。津液鏈とはあまり細かな言葉の定義にとらわれすぎず、体内の液体は全て同じ源からできている連携関係にあるという大きな捉え方です。

 

ここまで説明を読んで、結局あまり区別はない!?みたいな中医学を学んでいるといつもちょっと適当な注釈が入ってきます。本当の深い理解は症例に触って自分なりのイメージを組み立てるしか無いようです。

中医学:血の役割

今日は気血津液の2つ目、血のお話です。

 

巡るもの、気血津液の3つの中でも陰陽があります。陽は上へ向かう、発散、積極的などの要素です。この性質はまさに“気”です。その対として津液と血は限定的な動きをし、より物質的で、陰の存在です。

 

その中でも血は特に陰の要素が強い存在です。津液よりさらにどろっと動きが悪く、動きに自由度が少ないですからね。中医学でいう血は西洋医学でいう血とイコールではないのですが、重なる部分も多いです。

 

気血津液3つとも体内を巡る存在ですが、その中でも血は決まったルート、つまり血管の中を流れる最も自由度の少ない存在です。これは大きな特徴です。気はいたるところに存在しますし、巡る方向も自由度が高いです。逆に抑え込む、閉じ込めるような働きかけをするとその性質はうまく生かされません。また、津液も気ほどではありませんが、決まったルートを持たず、緩やかに体内を流れる存在です。

 

血の運行の特徴は主に3つあります。

  • 止まることはない
  • 決まったルート(血管内)を循環
  • 一定のリズムがある

動き方としてはいわゆる“血液”と同じイメージで理解して問題ないと思います。

 

気と比較し、自由度が少ない重たい物質が血です。重い(粘度が高い)だけに滞ることも多いですが、その分カラダに与えるエネルギー的な影響力はとても強いです。

 

ちょっと違うかもしれないんですが…血はとても男性的な存在だと思います。自由度は低いけれど辛抱強く、現実に与える影響力がとても大きい。これはとても概念的なお話なんですが…。

 

そして力強い男性性を誘導するのが女性性です。この女性性として気が存在します。

 

血は血単体ででにょろにょろと動くわけではなく、気によってコントロールされる必要があります。それが“気の推動作用”と“気の固摂作用”です。

 

推動作用は脈の中の血を動かす気の力です。固摂作用は血を脈の中にとどめておく力。この2つの力があって、血はスムーズな運行を行うことができます。

 

次は血の働きです。

 

まず血は全身を巡ることで身体中に栄養と潤いを与えます。これも西洋医学の血のイメージと同じですね。血のめぐりが悪ければ、酸素も届きませんしエネルギー届きません。そのため血の不足(血虚)や血の運行の悪さ(血お)はさまざまな病態を生む結果になります。血を豊かになるためにはその材料を取り入れるための“脾”の働き、そして全身に血液を滞りなく配分するためには“肝”の働きが大切になります。

 

さらに血は精神活動を支える働きがあります。精神活動とは中医学では“神”と表現されます。具体的には「精神・意識・感情・記憶・睡眠」などです。これらの精神活動の鎮静や安寧、つまりクールダウンに必要なものが血だと考えられています。

 

例えば血液が不足している時は不安や不眠症状が強く出ますし、熱邪が血に入り込んだ血熱の状態ではイライラする、落ち着かないなど異常な状態が現れます。

 

血液不足というと貧血ですが、ここでの血液不足、血虚は貧血とは異なります。貧血はどちらかというと酸素がきちんと臓器に行き渡らない“気虚”と思った方がいいかもしれません。

 

ただ、鉄不足は関係しているように思います。お客様に「血虚かもしれません」とお話しすると高確率で「私、お医者さんから貧血と言われていません」と反論される方は多いですが、中医学血虚はヘモグロビンの数値ではありません。ヘモグロビンは体内に酸素を運ぶ大切な血液成分ですので、体内でも優先的にヘモグロビンは作られるようになっています。そのためこの数値だけ見ていると他の場所での鉄の利用率の悪さなどを見落としてしまいます。直接的に関係するかわかりませんが、鉄の不足は脳内伝達物質の生成を阻害し、精神状態に影響を与えることが指摘されています。ヘモグロビンの数値より、もう一歩進んだフェリチンという体内の貯蔵鉄の指標の方が血虚の病態と結びつくように思います。

 

カラダの構造物で血と関わりが大きいのは髪、爪、筋肉、皮膚など。そして視力や大脳機能、月経との関わりも深いですね。

 

血の生成にはやはり気が関係しています。これは気の生血作用と言われています。そのため血の不足の病態に補血薬ではなく捕気薬を使う、というのは常用手段です。代表的な方剤はやはり帰脾湯でしょうか。

 

気は血を生み(気の生血作用)、気は血を動かし(気の行血作用)、気は血がもれでることを防ぐ(気の摂血作用)…これらを聞いていると血は気に頼りっぱなしな印象を受けますが、もちろんそんなこともいありません。陰陽のお話の時に、陰と陽はどちらも片方がなければ存在もしくは機能ができないお互いが補い合っているとお話ししました(例えればファミコン本体とカセットソフト!)。血が気なくしては存在できない、本来の働きが行えないことと同様に気もまた血がなくては十分にその役割をこなすことができません。中医学では、気は移動をするために血を乗り物にしている、と考えます。目に見えない気は目に見える血に宿ることでカラダにとどまることができるのです。

 

乗り物、という例えをすれば血は栄養を運ぶトラックなのに対し、気がドライバーというイメージで十分かもしれません。

 

 

 

栄養学:ビタミンDについて

過剰投与が心配されるのであまりサプリメントでおすすめすることが少ないビタミンD。他のビタミン類、CやB群と比較すると効能が今ひとつ地味?なのか影が薄いですが、最近かなり見直されてきています。

 

ビタミンDの効果として一番有名なものはカルシウムとリンの吸収を促進すること。実際保険適応で処方されるビタミンD骨粗鬆症の予防目的がほとんどです。

 

代謝への影響が中心と考えられていたビタミンDですが、最近見直されてきています。まず免疫力の強化作用。日常的に日光浴をする人がそうでない人より圧倒的に免疫力が高いことから調査は勧められました。その結果、その他にも、血糖調整機能や、妊娠の成功、精神疾患にも関わっていることが知られるようになりました。

 

ビタミンDは生体で生合成されたものと食品由来のものに分かれます。

 

ビタミンDとはビタミンD2とビタミンD3の総称。ビタミンD2は植物、主にきのこに存在し、ビタミンD3は動物性の食品に多く含まれます。

 

ビタミンD2とビタミンD3は生体内でほぼ同じように代謝され、活性を持ちます。そのため特に区別なく扱われます。

 

食品由来のビタミンDは他の油性ビタミンとともにカイロミクロンにとりこまれてリンパを介して吸収、全身をめぐります。

 

ビタミンDは小腸や腎臓でのカルシウムとリンの吸収を促進します。甲状腺から分泌されるカルシトニンと副甲状腺ホルモンのPTHと競合してカルシウムやリンの濃度を一定に保ちます。

 

この他に、最近注目をあびているのが小腸粘膜上皮細胞へ、細胞の成熟を促進するという点。ビタミンDが欠乏しているラットでは絨毛の長さが70%程度にしか伸びないという報告がされています。また小腸粘膜細胞同士を繋げるノリの役割をタイトジャンクションも、ビタミンDがその生合成にかかわっている、ビタミンDが不足していると粘膜の面積が少なくなり栄養の吸収にとって不利になる上に、栄養素と有害物質をこし分けるというフィルターとしての機能も落ちてしまうということです。

 

腸の粘膜を強化する、という点では免疫の「陰」の側面を充実させるということですが、ビタミンDは「陽」にもアプローチをするようです。ω3の油の話と通じますが、ビタミンDは過剰な免疫にブレーキをかけるTreg細胞への誘導を促進し、炎症を促進するTh17細胞への分化を抑制します。

 

実際アレルギー性鼻炎アトピーを罹患している小児はビタミンDの血液中濃度が低い傾向にあるようです。

 

ビタミンDの最新の研究で興味深いのは妊娠率と高い相関関係があるという報告です。ビタミンDが体内に豊富な女性は欠乏している女性より妊娠確率が1.5倍も高いのです。そして、妊娠のしやすさをはかる卵巣予備能(AMH)、体外受精の成功率、習慣性流産のリスクなどさまざまなデータでビタミンDが豊富な女性のほうが妊娠出産に有利であるという結果が出ています。

 

これはひとつに、腸内粘膜を正常化するように子宮内膜の状態を改善する効果があるため、と思われます。

 

それに加え、ビタミンDは最近核内レセプターが発見されホルモンの一種と考えられるようになりました。この核内におけるレセプターとの反応を介して、NK細胞の分化増殖を調整するようです。習慣性流産原因としてNK細胞の割合の高さも指摘されているため、ビタミンDが婦人科で注目を集めています。

 

NK細胞はウィルス細胞や癌化した細胞の細胞死を誘導します。ビタミンDレセプターが関与して悪性細胞の成長をコントロールし、そのため将来的にはガンの治療にも注目を浴びています。

 

この、悪性細胞の細胞死と、正常な細胞の文化促進効果は神経変性疾患、例えば自閉症うつ病アルツハイマー統合失調症にも効果をあげることを期待されています。実際ビタミンD投与による小児の自閉症評価尺度による研究で優位に改善が見られいています。

 

ビタミンDは体内のコレステロール代謝産物から、日光を浴び、肝臓で代謝され、さらに腎臓で代謝されやっと活性型となります。この活性型ビタミンD3は厳密に体内で調整されているので過剰症の心配はまずないと言われていますが、活性型ビタミンD3自体をサプリメントでとらなければそのリスクはまずないと言われています。過剰症の目安として1日IU4000もしくは100μgと言われています。これは人間が全裸で1日中太陽に当たったときに作られるビタミンDの最大量だとか。

 

医薬品によるビタミンDはロカルトロールが活性型ビタミンで、濃度に注意が必要ですが、骨粗鬆症に使われるワンアルファは肝臓での代謝によって活性型になるので、肝機能がトラブルなければ安全に使えるこちらがオススメ。動物性の魚などを原料としたビタミンD製剤では肝臓と腎臓両方で代謝が必要なたまこちらも過剰症の心配はほぼありえません。

 

デヒドロコレステロール+光→プレビタミンD3+熱→ビタミンD3+肝代謝→25(OH)ビタミンD3+腎代謝→活性型ビタミンD

 

つまりサプリや食品からのビタミンD摂取は光に当たる過程を飛ばすだけです。とはいえ、この数十年で光にあたる、なんて考えられなくなった人も多いかと思いますので、サプリでの補給は当たり前かもしれません。

 

また、感染症予防の面からも注目を浴びています。これまで寒暖差による体力の低下や空気が乾燥することによりウィルスの増殖が増えるなどが冬に風邪を引きやすくなる理由と言われることが多かったようです。しかし、ビタミンDが関与していることで、風は気温や空気の乾燥ではなく、その生成に必要となる紫外線が届かないことが直接的な原因ではないかとの指摘がされています。

 

知ってるようでしらない、ビタミンDの細かなお話でした。

中医学:気の働きと性質

八百万の神の感覚と同じかもしれませんが、中医学ではすべてのものに気が宿ると考えます。あなたの飲んでいるコーヒーにも、目の前の机にも気は宿っていますが今回のお話は当然人間のなかの気のお話です。

 

学生時代、友人のラトビア人(恐ろしく日本語堪能)に「日本人の言う“気”とは何だ?」と聞かれたことがあります。“気を使う”“気を配る”“気になる”“気をもむ”など日本語には多くの“気”があります。何気なく使っている“気”ですが、あなたはどう説明しますか?

 

中医学の中では気の性質をこのように定義しています。

  • いつでもある
  • どこでもある
  • 絶えず動いている
  • 決まった形はない
  • 直接は見えず、現象を通じて感じることができる

これは人間の気に限らず全ての気に関してです。確かに、湿気も見えませんが、ベタベタして、雨が多くて、冷たいカップが結露したり…感じることはできますね。

 

人間の気はその発生の仕方では2つのタイプがあります。先天の気と後天の気です。

 

先天の気は生まれつき持ち合わせた気。両親から受け継いだ生命力です。体の1番奥深くにある腎にそっと貯蔵されています。

 

後天の気は生きていく上でその都度作り上げる気。食物から取れるエネルギー、栄養のことを中医学で“水穀の気”と言います。この水穀の気を肺から得られてた“清気”と混ぜ合わせて作ります。

 

きるだけ後天の気を補充し、先天の気が磨り減らないようにすることが大切です。しかし、現代人は睡眠不足やストレスで先天の精を使い果たして、後天の精の補充は栄養不足で難しい方が多い様です。

 

次は気の作用です。気の作用は基本5つ。

  • 推動作用
  • 温喣・気化
  • 化生
  • 防衛
  • 固渫・統血

 

推動機能は押し上げる動き、という意味です。気が働くことで成長・発育など生き物として一番大切な働きがコントロールされます。甲状腺機能や性ホルモンの分泌など、他yさに関係するさまざまな働きが気の働きで前に進むことができます。

 

次に温喣作用です。これは身体を温める作用のことです。身体を温める、というと抽象的ですが、ホルモンバランスによって停滞していた代謝をあげるとかそんな役割です。実際の治療では、量の過不足、流れ共に気の温喣作用によって影響されるところがあります。

 

化生反応とは、あるものから違うものをつくる反応です。例えば食物が後天の精に変化するのもそうです。肝臓において有毒なものが無毒に変えられることも、化生反応はそういうと西洋医学的な肝の働きを意識してもいいかもしれません。

 

防衛反応は気の身体の表面にバリアをはる機能です。身体から生気を押し出し、体表において守らせることが大切。気虚、気が足りないと診断される症例ではやはり、水分不足は削られます。

 

次に、固泄、統血作用。これは中医学の特徴的な考え方ではないでしょうか。これは細胞、臓器などから身体の生気・栄養素やホルモン、血液などさまざまなものが漏れ出さないようにする力です。あるべきものをあるべき場所に留める、というのが

 

気は体表を覆い、その働きで病邪に対抗します。気はカラダの表面で接した外邪に反応し、それらを身体の深部に招き入れないようにする働きを持ちます。

 

最後に、最初にお話ししたラトビアの友人の話。私は考えたあげく日本語の“気”は“注意”のことだと答えました。もし良い答えがあれば教えてください。

栄養学:ω3系の油の話

私たち人間のご先祖はサルだといわれていますが、なぜ人間は他のサル達と進化の道を分かれたのでしょうか?そのきっかけは、水辺で暮らしていたためだと言われています。水辺のサル達が多く食べていたのは魚。魚に含まれる油が、同じく油を主成分とする私たちの脳を目覚ましく発達させたのです。油の選択はなんと種の運命まで左右するのです。

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油は体内で様々な役割を担っています。まずエネルギー源として。次に細胞の構造を支える膜として。各種ホルモンや、胆汁酸などの材料として。さらに脂溶性のビタミンの運び屋として。そして最後に、炎症の発生、抑制をコントロールする生理活性物質としてです。

 

今、特に注目をあびているのは最後にご紹介した、炎症反応の調整役としての油役割です。炎症とはカラダに悪い影響を与える刺激に対して生体が兼ね備えた防御システムです。例えば虫に刺されると、赤くなったり、腫れたりします。これは体内に入った毒を排除しようと免疫システムが作動した結果に起きるものです。例えれば、体内の火事を消防団が急いで消火活動をしに集まって来てくれる、その一連の騒動です。炎症を抑える薬もありますが、火が沈下していないまま消防団を無理やり帰してしまうようなもので、長期的な目で見ればカラダに負担がかかります。そして、これとは逆に火が消えても消防団が帰らず消火活動をし続けることがあります。このから騒ぎがアレルギー症状です。アレルギーとは、しかるべきタイミングで発動し、適切なタイミングで収束する必要がある炎症反応がいつまでも長引いてしまう状態です。これが花粉症やアトピーなどの正体です。

 

この炎症反応を適切なタイミングでとめるブレーキ役になってくれるのは先ほどサルのお話で登場した魚の油EPADHAなどのω3(オメガスリー)と言われる油です。このω3系の油は正式にはω3系不飽和脂肪酸と呼ばれ、炭素鎖に二重結合を複数持ちます。最初の2重結合がメチル基より3番目にあるためω3。私たちの体内で有効に使われるω3の油は、α-リノレン酸EPADHAの3種類が主です。

 

それぞれの特性として

α-リノレン酸

  • 動脈硬化抑制
  • 高血圧予防
  • アレルギー症状改善
  • ガンの抑制
  • (摂り過ぎで)軟便・下痢

EPA

  • 脳卒中の予防
  • 高血圧予防
  • 動脈硬化抑制
  • 脂質異常症予防
  • アレルギー症状改善
  • 炎症性疾患の改善
  • (摂り過ぎで)易出血・げっぷ・吐き気

DHA

このω3系の油は体内で作り出せない必須脂肪酸ですが、α-リノレン酸を摂取していればα-リノレン酸EPADHAと作り変えることができるようです。

 

ちなみにα-リノレン酸は亜麻仁オイル、エゴマ油、シソ油です。EPAといえばエパデール(イコサペントサンエチル)です。噛んでみるとわかりますが本気で魚臭い!DHAも同様。そのため調味料として売られているのはα-リノレン酸だけになります。ロトリガはEPADHAが配合されてます。

 

ω3系の油に対して、ω6系の油もあります。こちらはコーン油、紅花油、ごま油など、一番身近な油に多く含まれ、代表的なものはリノール酸です。必須脂肪酸のため、食事から摂取する必要があります。

 

このリノール酸は体内でアラキドン酸に変換されます。炎症反応にかかせないアラキドン酸カスケードです。ω6系もまた不足すると免疫力の低下や肝機能障害など不調の原因となるため必要ですが、現代人は圧倒的にとりすぎで、火消しがから騒ぎ状態。過剰摂取は動脈硬化、高血圧、脂肪肝やアレルギーの原因になりますので要注意です、

 

ω3系とω6系を比較し、どちらがいい油、ということもなくどちらも必要です。ただ、体内の脂質のバランスはどちらにも偏らないようにしたほうがいいようですね。ω3:ω6=1:3~4と言われているようですが、私は1:1くらいでいいのではないかと思っています。というのも江戸時代以前の日本人の油を割合がそのくらいだったという説があるようなので。

 

リノール酸は炎症に関係するプロスタグランジン系を2つまたぎます。

 

リノール酸→アラキドン酸→炎症反応

  ↓

γリノレン酸

  ↓

炎症抑制

 

そしてω3系のαリノレン酸も下のような反応をします。

 

αリノレン酸EPA→炎症抑制

 

面白いのは、世界的にも特に魚食の文化を持つ日本人ではリノール酸→γリノレン酸

とαリノレン酸EPAの変換酵素は弱いとか。つまり炎症を抑えたければEPAを直接とるべし、ということです。しみじみと日本文化での魚の存在の大きさを感じます。

 

ω9系の油、オリーブオイルもありますが、これは体内で合成できるようなのでとってもいいしとらなくてもいいと言われていますね。ω3~9まで、全て不飽和脂肪酸なので酸化のリスクがあるのですが、中でω9系だけ熱につよいという特性があります。加熱料理には使いやすいですね。

 

もう一つ、油のお話で私が好きなのはイベリコ豚の話です。イベリコ豚はどんぐりを与えられて育ちます。雑食のイベリコ豚はどんぐりの油をそのまま自分自身の脂肪へとたくわえます。これがなんともいえない旨みを出すようです。

 

逆に、食事に油はほとんど含まれていない草食の牛はどうでしょう?牛の油は食事ではなく、腸内細菌が作り出します。つまり牛の油は腸内細菌近次第。松坂牛がビールを飲んで油をつけるという話を聞いたことがありますが、確かにビールが油になるのではなく、腸内細菌に影響を与えるということかもしれません。

 

私たちも雑食です。食べたもので自分自身のカラダができていきます。

 

それを如実に表しすぎてほぅ・・・と思ったのは産前産後の妊婦さんにEPADHAを与えた、という実験。先ほどお話したように私たちは雑食なので食べた油がそのまま身に付きます。そして母乳にも移行します。

 

この実験ではω3系の油をとり続けた母親の子供の学習能力はそうでない母親の子供と比較し優位に高いという結果が出ました。

 

油は私たち人間の種の運命を変えてきました。そして、その影響は過去のことではないと思わされる結果です。

中医学: 弁証論治と八綱弁証

東洋医学では患者の病態の診断、治療に“弁証論治”というものが用いられます。今日は弁証論治とその弁証法の1つである八綱弁証についてお話しします。

 

弁証、の「証」とはあかし。治療の根拠となるカラダの症状を指します。これは西洋医学の例えば収縮期血圧が180以上なら高血圧、のような診断基準ではなく、カラダが表現している状態、顔色、脈の状態、声の調子、問診によって得られた情報全てが「証」となります。血圧などの検査値も、証の1つ扱われますが、その検査値一つで診断が下されるということはまずありません。

 

この証を頼りに病態を明らかにしていくことが”弁証”です。

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そして”論治”とはその弁証に基づき論理的に治療を組み立てていくことです。

 

弁証には後でお話しする八綱弁証の他にも、気血弁証、臓腑弁証、経絡弁証、六経弁証、気血営血弁証などがあり、患者の状態に応じて適したものを使います。どんなふうに使う弁証法を選ぶの?と言われると困ってしまいますが・・・これは経験でしか学ばないと思います。自分で言って耳が痛いのですが、どの弁証法を使っているかはっきりしないまま何となく薬を選ぶ、というのが1番治療効果がでないやり方ですのでしっかり学ばないといけません。

 

「葛根湯証」という言葉を聞いたことがある方多いのではないでしょうか?これは「方証相対」という方剤と証は一対一の対応関係にある、という考えを基にしています。一般的に汗が出ていなくて、熱があって寒気や頭痛、肩こりがある体力が比較的ある、というのが葛根湯証と言われます。この方証相対の考えは方剤を選ぶためにとても便利ですが、これが全てではないことは覚えておかないといけません。弁証では患者の病態を振り分けて方剤を選ぶだけではなく、きちんと患者の中で気血、臓腑がどんな働きをして影響しあっているのかを分析する必要があります。。そのような詳細な観察力があってこそ風邪薬として使われる葛根湯が皮膚炎や乳腺炎に応用できるようになるからです。

 

では、弁証論治の基本である八綱弁証についてお話ししていきましょう。八綱弁証は陰陽論をベースとして、陰⇆陽の1次元的な分析を多次元的なものに発展させた分析法です。具体的には表裏・感熱・虚実・陰陽の指標を用いて症状を分析します。

 

表裏に関しては病邪がカラダのどこに位置しているかを分析します。一般的に東洋医学ではカラダは層構造になっていて、その外側体表を“表”、内側を“裏”と捉えます。具体的には風邪などの病気の初期、悪寒など体表の症状が強い時は表、下痢や腹部膨満感など、内側の症状が強い時に裏と判断します。ただ、表裏だけではなくどこに病症が現れているのかはカラダの左右、上下など含めて観察する必要があります。

 

次は寒熱。寒熱を分析するにあたって気をつける必要があることは「結果として熱を持っているのか(熱象)」か「病因として熱なのか(熱証)」を意識してわけるて観察することです。八綱弁証は現象を捉える方法なのでここで診断するのは熱象、今の状態です。もう一点大切なことは、八綱弁証はカラダの全体ではなく局所的な症状にフォーカスを置くことです。カラダ全体の寒熱を意識することも大切ですが、まず病象がおきている局所注目しないと、結局何でも寒熱錯雑(寒熱が混ざっていること)に分類され、分析の切れ味がなくなります。

 

寒熱を弁証するにあたって、より立体的な分析となるように燥湿も押さえておきましょう。乾いた状態の熱象と湿気を持つ熱象ではアプローチが全く異なります。

 

次は虚実です。「虚」は何かが不足している状態、「実」は本来ないはずのものがある、もしくは必要以上に何かがあり過ぎる状態です。

 

例えば感染病の場合は明らかな病邪が存在するため“実”と捉えます。ストレスが溜まり過ぎる状態を気が多すぎる(気滞)と捉えますが、これもまた実です。虚とは不足の状態ですから体力がない、やせ細っている、色艶が悪いなど何らかの虚弱を示唆します。注意点は、例えば熱などの一見「実」に見える病態において、実しているとは限らないということです。熱は陽気ですので、対になる陰気とのバランスが大切です。この冷やすための陰が不足することにより相対的に熱が過剰になった状態を熱がありなおかつ虚した状態、虚熱証といいます。

 

虚実、というと体力がある人が実、ない人が虚という捉え方をする人がいます。それはそれで間違いではないかと思いますが、虚実の全てではありません。その分析が全身的か、局所的かを意識して使い分ける、または全身と局所の状態を結びつけて考える弁証をしないと東洋医学の特質は失われると思います。全身的な虚だけをみて何かを補うようなアプローチは西洋医学の対症療法と何も変わりはありません。

 

八綱弁証の最後は陰陽、という視点です。この陰陽はよく表裏・寒熱・虚実の3つのまとめとして扱われることが多いようですが、もう一歩深く学びましょう。八鋼弁証の陰陽はこれまでの分析に含まれない点を分析する、と考えていいと思います。「まとめ」、というより「その他」という感じ。

 

例えば皮膚の乾燥が見られ津液の不足が考えられるとき、代表方剤である六味丸が適応となることがあります。六味丸は津液を増やして解消する処方で、陰に働きかけます。一方、同様の皮膚の乾燥で八味丸が適応となる病態があります。八味丸は六味丸をベースとし、同じく津液を増やす効果があります。しかし八味丸の適応は乾燥に加えて、体内の津液を動かす力、陽気が不足している病態です。同じ皮膚の乾燥でも一方では隠に、もう一方では陰と陽両方に働きかけを行います。このような病態の全体を通して表裏・寒熱・虚実では分析しきれない生体の動態に向き合う時陰陽というモノサシが用いられます。

 

思ったよりカンタンには説明できなかったですね…でも基本の弁証ですのでしっかりマスターして下さい。

 

中医学:五行の関係

最近小児科内科の門前でお仕事させていただいているんですが、とても面白いな、と思うことがありました。

 

陰陽論や五行学説は季節にも応用されます。今は夏至直前。季節の中で1番陽の力が強い時期なんですね。

 

この時期に急に増えたが、小児の原因不明の発熱。発熱以外の症状はあまりなく高熱の子も少なくないのですが、わりと見た感じ元気な子が多いですが…お母さんたちも首をかしげるばかり。

 

子供は体温調整機能も成熟していないので、発熱しやすい、というのはありますよね。

 

子供というのは私たち大人より圧倒的に陽の力をカラダに秘めて生きています。砂糖ってカラダを冷やす陰の食材なんですが、大抵のお子さん大好きですよね。言われるわけではなく、砂糖のような冷やす食材で自分の中の陰とバランスを取っているわけです。そして、今最も自然の陽が高まっている時期ですから、陽の力が抑えきれなくなって発熱、という形になっているのではないかな、と。

 

正直、都会の薬局では気がつかなかったな。田舎の方が自然の中で育つから、より自然の力を受けるのでしょうか。

 

こういう発熱は熱をとるような解表ではなく、陰を補ってバランスをとるようなアプローチがいいのではないかと思います。

 

本題へ。今日は昨日の五行学説をもう少し深めて、五行の関係についてお話しして行きたいと思います。人間関係みたいで面白いですよ。

 

五行とは昨日お話しした世界を構成する5つの要素“木火土金水”のことです。

 

この5つの要素は陰陽の関係の発展版。お互いが依存し、また抑える関係になっています。

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こんな感じです。どの一本が抜けても、また大きすぎたり小さすぎたりしても成り立ちません。

 

五行学説は木火土金水の5つの要素が影響しあってバランスをとることで世界がうまく回っていると考えます。

 

この5つの要素の関係の基本は「互いを育てる関係」と「互いを抑える関係」です。

 

「互いを育てる関係」を「相生」と言います。字のごとくお互いを生む、生かす関係です。それぞれに自分が生む存在と自分を生む存在を持っています。お互いを向いている矢印⇆ではなく、一方方向片思いの→です。こんな感じ。

木→火→土→水→金→木…

育てる、というのはイメージ的にはこのようになります。

  • 「木生火」→木が燃えることで火が起きる
  • 「火生土」→火は木を燃やし、灰が土となる
  • 「土生金」→鉱石は土に埋もれている
  • 「木生水」→地層や岩石が地下水を生む
  • 「水生木」→水は木を成長させる

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これがお互いを生み、育てる「相生」の関係です。これを中医学のカラダの仕組みに当てはめると、自律神経をコントロールする木である「肝」の緊張が火の「心」に伝わってドキドキしたり、肺(金)の病気、例えばアトピーなどを脾(土)の胃腸機能を高めることで治療する、などです。

 

自分が生み出すものを「母」と呼び、自分が生み出すものを「子」と言います。例えば水にとって母は金であり、子は木です。

 

また、お互いを抑え合う関係もあります。これは「相克」と呼びます。相克関係とは自分を制御する存在と、自分が制御される存在をもつ関係です。

  • 木克土→木が土砂崩れを防ぐ
  • 土克水→土は水をせき止める
  • 水克火→水は火を消す
  • 火克金→火は金属を溶かす
  • 金克木→金属は木を切り倒す

ちょっと無理があるますが…こんなイメージです。

 

これをカラダの働きに例えると、心(火)がオーバーヒートしないように腎(水)が行き過ぎを抑えたり、上部に向かいがちな肝(木)の気を肺(金)が下降へと導いてくれます。

 

お互いを育てながらまた、行き過ぎないようにお互いを制御する、まさに家族、親子のようですね。陰陽論ではあなたと私、つまり一対一のパートナーとの関係だったのが五行では5人家族、育てる相手(子)と育てられる相手(親)、自分を鍛える相手(兄?)と自分が鍛える相手(弟?)のような、登場人物の多い広がりのある関係となります。

 

そして登場人物がみんなお互いを尊重してチームを作る。これがこれが健全な状態の五行の関係です。

 

少しボリュームが出ますが、続けて病的な関係までお話しします。

 

この5つのチームメートの誰かが強くなりすぎて他のいうことを聞かない、もしくは弱くなりすぎて自分の役目をこなせなくなるという時があります。この育てる、抑えるのバランスが崩れた時、病的な状態が発生します。

 

まず最初に「相乗」と呼ばれる関係。相手に乗っかる、と書くこの関係は抑制をする存在が一方的に強すぎて抑制される側を弱めてしまう関係です。

 

矢印の方向は「相克」と同じです。例えば「木克土」ですが相乗関係では「木乗土」。木が強くなりすぎて土を痛める状態です。ストレスでイライラしすぎて食欲がなくなってしまう、胃痛や胃潰瘍を起こしてしまうようなケースがこれにあたります。

 

これとよく似ているのですが「相侮」という関係もあります。これは抑制する存在が弱すぎてもしくは抑制される側が強すぎて抑制のコントロールできない状態のことです。「反侮」とも言います。

 

相侮は相克関係の矢印が逆になります。「金克木」が「木反侮金」へ。肺が肝を抑えるのがもともとの役割ですが、肝が強すぎて制御が効かなずに肺を痛める、例えばストレスで喘息やアトピーの症状がひどくなる、というのがこの状態です。

 

(肝は基本強気なヤツなのでいじめることはあってもいじめられることはないですね)

 

この相克、相乗、相侮はちょっと言葉は覚えにくいですね。抑える側、抑えられる側を教師と生徒でイメージしてみます。相乗は「先生が生徒を可愛がり、生徒も先生を尊敬するいい関係」です。相乗は「先生の側がパワーハラスメントで生徒を抑え込む」、相侮は「先生が頼りないので生徒が調子に乗って教室が荒れる」状態です。

 

言葉の定義はあまり大切ではないですが、五行の関係は病を紐解くには大切です。イメージつきました?概念としてはしっかり抑えて置きたいところです。

中医学;五行学説

五行学説は中医学の概念の中でも華型かもしれません。ここを理解するために中医学における整体感は大切なので、ぜひ前回の投稿もご覧頂けたらと思います。

 

中医学では世界は5つの要素からできている、と考えます。その5つの要素とは“木火土金水”です。

 

この5つの要素“木火土金水”はあくまでシンボルであり、イメージです。あまり細部にこだわりすぎず、それぞれの要素の気のあり方を意識してみてください。

 

ぐたいてきにそれぞれのイメージを説明しますね。

 

まず、木(もく)。植物の代表であり、グングンまっすぐ上に伸びていくイメージです。キーワードは成長や発散。季節に例えれば春、気候でいえば風。そして私たちの体内では「肝」が木に属します。ここでいう肝は西洋医学でいう解毒の肝臓と異なり、腎や脾の力を上に持ち上げるまさに発散の臓器です。樹木が大地の気を天に届けるように、肝は私たちのカラダ隅々までエネルギーを届けてくれます。

 

次に、火。火は自然界における太陽のイメージ、“日”とも言えます。火は温熱、光明、飛躍がキーワードです。季節に例えれば夏、気候でいえば熱。臓器でいえば「心」。太陽が地面を温めてタネが芽吹くように、物事がスタートをするきっかけ、原動力を作るものです。心は生命活動の司令塔で様々な調整役を担います。

 

次は土です。土は種子をまいて収穫をもたらす土壌。成長と変化、そして全てを受け容れる受容です。季節は長夏(梅雨)、気候では湿です。そして臓器は「脾」。この脾とは消化器官のこと。土が雨や雪、動植物の死骸も全て受けれいれ、新しい養分を作り出すように、脾は体内に入った食物を消化しエネルギーに変える機能を持ちます。生命を維持するためのエネルギーを外部から供給する役目をするのが脾です。

 

そして金。金は鉱物であり、変革の象徴です。清潔・粛降・収斂がキーワードです。金・鉱物は地中で長い時間をかけて大きな変化を遂げたものです。金の季節は秋、気候は燥。臓器は「肺」。少し金のイメージと異なりますが、肺は地球でいえば宇宙と地球を隔てる大気圏であり、人の体でいえば皮膚のような“自分と他を分ける外殻”です。心や木の力で持ち上がったエネルギーは天井のように肺とぶつかり、外界と生体を分けます。生理機能では呼吸や免疫、皮膚が肺の領域です。

 

最後に水。五行の中で、慈潤、下降、寒涼のイメージです。水は全てを潤し、下へながれます。水の季節は冬、気候は寒。臓器では「腎」を表します。水のイメージをそのまま、体内の水分調整の要となる腎臓ですが、中医学の腎はさらに生命力の源になるタネのような位置付けです。脾が大地であれば腎は大海。全ての命の始まりを生み出す生命活動の根源です。それゆえに生殖機能なども腎の支配を受けます。

 

このように世界を構成する様々なものを5つに分けて分析するのが五行学説です。

 

ここまでの説明で、正直五行学説、多少こじつけた感があると思いませんでしたか?

 

五行学説の優れた点は、対になる、もしくは相反する性質をもつ2つのものの関係から読み解く陰陽論と比較し、より複雑な関係を理解する道具になることです。例えばAから影響をうけたBがさらにCとどんな関係になるか、など、五行学説は登場人物が多い分より細分化した、間接的な影響を描くことができます。

 

陰陽論にしても五行学説にしても全てを測ることができる万能のモノサシではありません。例えば長さはメートルという単位を使いますし、重さにはキログラムなどの単位を使います。重さに対してメートルは使えないように、何かを測定するときはそれぞれに適した単位を使う必要があります。これと同じように五行学説もそれに相応しいものを測定するときには有用なモノサシとなりますが、そうでないときは陰陽論など、ちがうモノサシを当てはめるようになります。

 

ちょっと都合がよい感じがしますが、実際五行学説では説明できない病態などでは五行学説はおとなしくなりを潜めていてくれます。

中医学:整体観と五行学説

気血津液の概念に次いで東洋医学で大切な整体観と五行学説についてお話しします。

 

まず東洋医学の大きな特徴は自分自身をはじめとした全てを、自然や宇宙と一体の存在であるという捉え方をすることです。

 

この一体観がもたらす視点は2つあります。自分自身に起きていることが1つ目は環境や生活習慣など外的な要因に大きく影響を受けていること、2つ目は自分自身内側からも影響を受けているということです。

 

具体的に中医学のなかでこの視点を応用してみましょう。例えばある人が「イライラがひどい」といった時、職場が変わったばかりでストレスを感じている、春先で自律神経が乱れやすいなど、その人に影響を及ぼす環境要因を考えなければなりません。また、きちんと栄養がとれているのか、眠れているのかなど影響を与えそうな内的な要因にも目をむけなくはなりません。

 

症状が現れているところは必ず他の外的もしくは内的な要因に影響を受け、そしてまた影響を与えてもいます。

 

一個人は必ず全宇宙の一員でありその影響を受け、また一個人は全宇宙の構成要素でもあるため同じく影響を与えている、という考え方です。

 

学生時代始めて“原子の構造”を授業で習った時とても感動したことを覚えています。